2019.02.18 02:33《 公園の童話 》より(3話抜粋) はじめに「その公園には年寄りの それは立派な 桜の木があります」という始まりの、桜じいさんが主人公のお話をblogにUPしたのはなんと2006年、物語を書いたのはそれより以前になります。初めてお話を書いてみようと思い、完成させたのはまた別の、天使が出て来る物語でした。(もともとのHPを消してしまったため、原稿も部分的にしか残っていません)。子供向けの童話の形、絵本の文体で書きましたが、対象は特に「こども」を考えているわけではありません。(私の書くものは大体そうなのです)。書きたいから書くので、どうぞ響く人がいますように、そんな感じでしょうか。1作目を飛ばし、黒猫愛のにじみ出る三作を選んで今回投稿させて頂きました。1 《 ベンチ 》
2018.03.01 09:12食事係の恋人 Texpo、「猫、公園、バレンタインデー」「800字バトル」短い中で「伝える」という練習にもなりましたが それもまた難しいものだったことを覚えています。※翻訳などのお勉強と交流のサイトで この短編を使って英訳してくださった方を検索でたまたま見つけました。有難うございます。嬉しかったです。どなたなのでしょうか。それもずっと以前の話なのですが…。------------------------「今日は、いないね」猫はピクリと耳を立てる。自分ならここにいますけど。「ミャウ」短く鳴いて、由佳の足に身体を摺り寄せた。「食事係その一」猫は由佳の事をそんな風に思っている。だけど膝に乗ると温かくていい匂いがして、撫ぜ方だって、案外悪くない。 誰がいなくてガッカリしてる...
2015.03.31 13:55物語の続きを始めよう。「つまり…それで 世界から僕が消える?」 やっと出た言葉は いつものように先を見失って 上手くは続かなかった。自分が最初からいない世界なんて誰が想像できるだろう。 亜理紗は品の良い薄い唇を軽く尖らせ、悪戯っぽい目で僕を見る。 「そうよ。その時私が過去が変わるようなことをしていたら、今の行哉(ゆきなり)だっていなかった。だあれもあなたのこと、知らないの」 「亜理紗は…亜理紗はそこで何をしてきたの?」 その日亜理紗が語り出したのは、彼女が行って来た「過去」の話だった。つい先日、祖母に出会う前の僕の祖父に会ったという。 自分がいない世界を想像するのが難しくて、僕は困った顔をしていたのだと思う。大好きな祖父母の出会いを亜理紗が悪戯...
2014.07.27 11:22失われた時間 取り戻す記憶第53回 Mistery Circle参加作品お題 ●あなたはあたしを忘れてしまった。 で始まり ●話をするということがどれほどむずかしく、どれほど残酷なことであるか、彼女はよく覚えている。 で終わることお題出典 「北の愛人」 河出文庫 著:マルグリット・デュラス 訳:清水徹-----------------------------------------------------------------あなたはあたしを忘れてしまった?水道の蛇口に指を当てわざとまき散らした水に ぶざまに濡れた体操着で突っ立ちながらそいつは ぼそっとつぶやくように言った。マジックで落書きされた汚い机を見た時も 鬱陶しい前髪の隙間から上目使いで見るとまた そいつはオ...
2014.02.20 16:15花咲く庭 鳥啼く森第52回 Mistery Circle 参加作品お題●「夜にしか歌わないの。●物語は終わった。つまり物語は終るのである--------------------------------------------------------「夜にしか歌わないって訳じゃない」 「『小夜啼き鳥』だなんていうくせに いつでもかまわず歌ってるのね」 いつも暢気に歌っているサヨへの 私のちょっと意地悪な言葉への返事が それでした。「サヨ」というのはもちろん、その小生意気なもの言いをする若者の本当の名ではなかったでしょう。でも、結局私は、一月足らずをともに過ごした彼の本当の名を知らないままでした。 「俺?俺はサヨナキドリ」という自己紹介も相当奇...