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2020.12

2020.12.24 16:03
金木犀(カヤ&サク2)
窓を開けると花の香りが漂ってきた。あれは「金木犀」。夜になると余計に匂いがわかるよ、と言ったのは、昨年の朔。耳を澄ますと隣のテレビの音、向かいの給湯器の音、遠くで走る電車の音。「こんなに音がするのに 静かだって思うの、不思議だね」 その時の朔も、妙にしんみりした横顔だった。いつの間にか 外から帰って来たキジトラの仔猫は 毛布の上で丸くなって寝ていて、ぴくりともしない。安らかな寝顔。昼間は外で鳥を追いかけて あんなに激しく走り回って遊んでいたのに。「夜の闇と明るい黄色の月を見ているとさ、実家に残して来た年寄りの黒猫のことを思い出すんだ。手を差し出すとすぐに舐めてくれた優しい子だった」初めて聞く、朔の「思い出話」だった。 **最初、「トイレの芳香剤のかおり...

ぺんぺん草 花束にして

オリジナル小説、随筆など。fc2「stand by me 」から引っ越しました。

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