2015.03.31 13:55物語の続きを始めよう。「つまり…それで 世界から僕が消える?」 やっと出た言葉は いつものように先を見失って 上手くは続かなかった。自分が最初からいない世界なんて誰が想像できるだろう。 亜理紗は品の良い薄い唇を軽く尖らせ、悪戯っぽい目で僕を見る。 「そうよ。その時私が過去が変わるようなことをしていたら、今の行哉(ゆきなり)だっていなかった。だあれもあなたのこと、知らないの」 「亜理紗は…亜理紗はそこで何をしてきたの?」 その日亜理紗が語り出したのは、彼女が行って来た「過去」の話だった。つい先日、祖母に出会う前の僕の祖父に会ったという。 自分がいない世界を想像するのが難しくて、僕は困った顔をしていたのだと思う。大好きな祖父母の出会いを亜理紗が悪戯...