2005.12.08 08:00留守番(友達100人できなくっても)「一人で お留守番のとき、 宅配便のひとが来たら どうしたらいいのかな?」「いないフリ~」「インターホンで”今だーれもいません”って言う」「いるじゃないですかって 言われるし~」みんな口々に 好きなことを言っている。「さまざまな危険から 自分で身を守りましょう」 っていう 授業。 「ママは 私をひとり置いて 出かけません」(だから 留守番したこと ありません・・・)って 正直に言った方が いいのかな・・ヒトミは ドキドキした。ママは カギっ子だった。自分が それで寂しかったから 「おかえり」をいつも言いたいんだって。だから 出かけても学校が終わるまでには絶対に 帰ってくる。結局 ヒトミは当てられないまま 授業は進み、授業の終わりに 先生が「ドアは絶対...
2005.06.28 15:58虹の橋タクを追いかけて シュウジも教室を飛び出した。驚いたり おもしろがったりして騒ぐ みんなの声 あわてて静かにさせる 先生の声──よそ見してるのを先生に注意されたから タクがキレたそういう声も 聞こえたけど違う そうじゃない、 シュウジは 思う。授業中 タクがぼんやりと 雨あがりの校庭ばかり見てたのを、シュウジは その前から知っている。はじかれたように立ち上がって教室を飛び出したのは先生の言葉とは 全く関係ない。そんな 気がする。階段を降りくつ箱に急ぐ。下足場にタクの上靴がばらばらに脱ぎ捨てられていた。タクの足は学年一速いから普通に追いかけたって追いつきっこない。昨日、お母さんがタクのことを話してきた。なんだか変な中学生と一緒にいたのよ。スニーカー踏んで...
2005.06.11 06:31きつね(友だち100人できなくっても)「おい、キツネ。」タカシがそのあだ名でマリエを呼んだ瞬間、女子の目が一斉にタカシに向けられた。 ナツミが慌てて駆け寄ってきて マリエの前から回り込み「マリちゃん、理科室行こ。」と、トレーナの袖を引っ張った。 数人の女子がタカシを囲んで何か言っている2学期まで マリエの苗字は「ツネキ」だった。─ お父さんの姓だ。「せめて 3学期まで、ううん、マリちゃんがそうしたかったら、 学校ではそのままの名前でもいいのよ。」お母さんは言ったけど「いいよ。お母さんと同じ苗字がいい。」マリエはきっぱりと言った。3学期の準備で引き出しを開けると、ノートに 教科書に「ツネキ マリエ」の文字が黒々と書かれている。自分で書けるのに、ちょっぴり甘えて、お...