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2021.09

2021.09.03 07:38
柿の実 猫の木 ヨリの庭
「『庭の柿』だよ。凄いでしょ」ビニールの袋にどっさり入れて それをうちに持ち込んだのは幼馴染のひよりだ。──見た目は悪いけど、こういうのこそ美味しかったりするんだよ。ひよりは慣れた様子で我が家のキッチンに入り、果物ナイフを出して皮を剥き始める。食器棚からデザート用の皿とフォークを二つずつ選ぶひよりの動きには迷いも遠慮も無い。うちのダイニングテーブルの三つ目の椅子は 足が床につかない頃からずっと、ひよりの指定席だ。満面の笑顔で差し出された「庭の柿」は、カリカリと硬い上、甘みも少なく、なかなかに不味かった。看護師の母は夜勤で留守。こういう夜は昔からひよりが必ずやって来て だらだらテレビなんか見ながら夜食を食べて他愛もない話をし、そのまま寝落ち。今回いつもと...

ぺんぺん草 花束にして

オリジナル小説、随筆など。fc2「stand by me 」から引っ越しました。

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