2012.02.01 13:38土星の家 木星の灯 (さかなの目4)「夏の夜はさ、涼しい風も入って来るし 月の光も挿しこんで なかなかいい感じだったぞ」幼稚園児がやっと3人入って遊べるサイズの そのコンクリートの遊具の中、お風呂にでも入っているような格好で座りながら そいつは言う。能天気な顔でそう言ったその直後、ぶるぶるっと身震いして肩をすくめ「ううん…冬は…そうだなぁ…ちょっと、寒すぎるかなぁ」…当たり前だ。知らんぷりして去りそびれて 千波はため息をついて達也を見おろした。幼馴染で隣の家の同級生だ。「土星公園」。土星を模したこのコンクリートの遊具が砂場の真ん中にあるため 千波たちはここをずっとそう呼んできた。高架下の立地で薄暗いせいもあって 最近は子供をここで遊ばせる親も少ない。今は閑散としていて ペンキの剥げた遊具...