大切な 不思議


キミがその柔らかな身体から命の火を ふいと消した日からボクの身にもいくつかの不思議とも言える 出来事はあったんだ。深夜ひとりで TVなんか観てたらねぷちり急にTVが消えた。あれ?うとうとしながら リモコンのスイッチ押しちゃったかなけれど リモコンはいつものこと、手元にはなく探してるうちに ふつ とTVがまた ついた。「もう・・観てないじゃない、お布団で寝ておいでよ」「消さないでよ 観てるんだから」そんな 会話も何回あったろう。他の日は外出して帰ってきたら TVがついてた。消して出たはずなのに。キミと二人でよく観てたドラマの再放送。タイマーオンになってたんじゃないの?あれから ボクはやっぱりぼんやりしてる。いいシーンなのに キミはここで立ち上がったりして一緒に観てくれないんだよね。一緒に泣くのなんて 照れくさかったけどそれぞれ別の部屋で泣かなくたっていいのにさ。結局 ボクは もう一度 ひとりで泣いた。再放送で ひとりで泣いた。電気屋さんが来て スイッチ直接じゃなくリモコンを使った方がいいですよ 壊れるの早いから。・・って言った。簡単にTVは直ったけど  TVの主電源切るのはキミの癖だったんだよね。少ししたら 今度はキッチンの電子レンジのボタンが壊れレンジでチン、のご飯が食べられなくなった。炊飯器を久しぶりに使ったよ。キミと さんざんデザインと値段で悩んだ 炊飯器。キミがいなくなって初めてのお盆の頃。初めて 数日 家を空けた。帰ってきたらさ、ほかのものは何も倒れてもないのに壁にかけた絵だけが サイドボードの下に誰かが そっと置いたみたいに 落ちていたんだ。一緒に住む記念に買った 絵。ボクはその年の暮れ その家を出た。新しい部屋 引越し荷物を解いた そのすぐ後大きな大きな地震があったんだよね。日本中が大騒ぎになるくらいのさ。こんなことまで キミのせいにはできないからいくらなんでも できないからボクは 不思議を ごくんと飲み込んで大切な思い出を そおっと布でくるみそして ひとりで 歩き出す。いつまでも「明けましておめでとう」はないだろう・・と 何か書こうとしていた矢先「不思議話」のblogを読んでて ああ、こんなことがあったな・・と思い出したことがありました。ちょっとだけ ノンフィクション。・・・どこが? 秘密です。

ぺんぺん草 花束にして

オリジナル小説、随筆など。fc2「stand by me 」から引っ越しました。

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